降りたつところ 1

 誰も知らない、夏のある日、サイトウさんが姿を消した。
 じつにみごとな失踪だったと思う。市の水道局職員、ガスと電力会社の料金徴収係に新聞店のオーナー。アパートの管理会社にそれからちょっとした「とりたて屋」と、幾人かがそれぞれの事情から必要に迫れ、彼の行方をそれなりの必死さで追跡したが、結局のところさしたる成果を挙げることはできなかった。部屋にはひとくちだけかじられたトマトと乾したままのタンガリーシャツ、瓦礫のように積み上げられ古い書籍、それから前回UPしたメモ書きが残されていただけだ。しばらくすると潮がひくようにひとりふたりと、収穫のないままサイトウさん追跡レースから脱落してゆき、また次の「ワケあり」を追いかける日々にシフトしていった。そして比較的長い時間を要しながらも、最後に私のところに辿り着いたのは、やはりちょっとした「とりたて屋」だけだった。
 千年紀最後の年の、最後の夜。エリツィンが辞任を表明したとテレビで速報が流れ、人々が「2000年問題」に固唾をのんで身構えていたその夜。たいていのことに興味を持てない私は、少し呑みすぎて部屋に帰ってきた。テレビのスイッチを入れ、リンゴを丸々一個すりおろして胃袋に押し込み、洗濯物を取り入れてかたづけ、それから熱めのシャワーに逃げ込み、丁寧に頭と身体を洗い髭を剃った。チリの安ワインを飲んだせいか、すでにこめかみの辺りがズキズキと痛みはじめている。シャワーのあとフリーザーから保冷材を取り出し額にあて、水を大量に飲む。痛みはおさまるばかりか、ひどくなっているような気がする。真冬の外気を吸い込もうかどうか迷っているその時、頭痛には大敵の聞き慣れないエンジン音が耳に届いた。窓を開いてゆっくりと下を見ると、エメラルドグリーンのマセラティ・クアトロポルテが、エンジンのねっとりとした重低音を地響きのように奏でながら、私の住むマンションの玄関前に蹲っていた。
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# by temanekihitsuji | 2009-01-22 15:48 | 裏ひつじ | Comments(0)

つきたての餅は格別

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週末の続き。

岡本の商店街での餅つきのお手伝いに。

商店街の人近所の人 15人ほどが集まり
あっという間に 蒸しあがったもち米を
おっちゃん二人ががりで どっこいどっこいついていく。

どんどん 餅がつき上がる 
私はひたすら丸める係。餅が手にひっつき しかたない~。
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小学生の時は 毎年 祖父の家で 親戚中集まり
餅つきするのが 年の締めくくり行事だった。

おばあちゃん 上手に一つずつ丸めていたけど
どんな テクニック使ってたんやろか?

みんなのやる気がありすぎ?オープン前に 結構 売れてしまう(笑)

つまみ食いを挟みながら ぺちゃくちゃ話ながら
手だけは止めず ひたすら モチ切っては丸める。

腰が痛いから無理無理!言いながらおばあちゃん
ほっとけないらしく 自ら水とり(お餅がうまくつけるように
タイミングよく ひっくり返すあいの手を入れる人)
をかって出てる姿 微笑ましい。。

「水とりに 参りました~」と参上したおばちゃん。
プロやった!出で立ちから違う!
割烹着はもちろん 三角巾はさすがや。

水とりおばちゃんが 入るだけで場が引き締まる。
水とりおばちゃん 餅つきに引っ張りだこに違いない。

足ふらふらのおじいちゃんも 張り切っている。
おじいしゃんおばあちゃんが生き生きしている。
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子供達も小さな杵で餅つきに参加。

自分が何やってるかわからんようで きょとんとしてる子も
終始笑顔で 楽しんでる子も 自分でついた 餅をほおばって満足そう。

白餅。きなこ餅。あん餅。おろし餅。
雨が本降りになる前に完売。途中行列もでき 大盛況で終われる。

最後の最後には どこから現れたのか 手伝ってる人倍の数になっていた。
楽しそうな雰囲気に惹かれたのかな?

子供からお年寄りまで 楽しめる餅つき。いいな。いいな。
手伝ってくれた 近くの大学生も
「いいなー 近所の人集まってこんな行事できるの~
うちの地元はこんなんないんです~」
て羨ましがっていた。

岡本って お洒落な街ねーてよく言われるけど、
けっこう庶民的な街だと思う。

日頃 あまり関わることのない人たちと 色んな年代の人たちと
力を合わせ 共同作業をするって学ぶことも多いと思う。
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ひとひでほっこり つきたて餅入りお雑煮いただいた。
冷え切った体もぽかぽかに。。。

張り切っていた おじいちゃん おばあちゃん 腰大丈夫だったかしら??

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# by temanekihitsuji | 2009-01-21 16:17 | 日々のこと | Comments(4)

home

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週末 うちのセブンと 川西の家ieにお邪魔。

イベント時にスタッフとして 楽しい集まりとかには ちょこちょこ遊びには
行かせてもらってるけど お客として 遊びに行くのは久しぶり。

昼下がり 緩やかな暖かい 日差しの中 とても気持ちよい。

去年 家ieのmukuさんと伸さんに 家でお茶淹れてほしいな~と声を
かけてもらい すごろくカフェで 日本茶カフェをさせてもらったのが 
私のデビューでした。
屋号も考えたら?ブログも始めたら?と囃したてられ 言われるがまま実行(笑)
今につながるいい出会いと 繋がりを沢山 貰った。

ここが出発点で 私のホームグランドやーと 思いながら
家ieの空間を味わう。

また ここで お茶を淹れたいな。。。

着物と日本茶が一番しっくりくるお家で。

柚子茶を ココアも とても美味しかったです。
心も体も温まりました。
御馳走様でした!!


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# by temanekihitsuji | 2009-01-20 08:34 | おでかけ | Comments(0)

1.17


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1月17日。
阪神大震災から14年。

常に思うのは、
被害を目の当たりにしたわけではないが 同じ揺れを感じた者として
あの恐怖は決して薄れることはないということ。

震度5強の闇の中で家族で震えながら抱き合っていた。

ここは戦後かとおもわれるような 長田の焼け野原。

お互いを思いやり支えあう人たちの姿。


体験談を目に耳にしても 未だ 胸がつまる思いで
涙が溢れそうにになる。


決して忘れてはならない。
伝えていかなければならない。
私には 何ができるのだろうか。。。

黙祷。



トップの写真は 震災直線に 父の一眼レフカメラを持ち出し
何かに駆られるように 写真に収めに行った 神戸の街。
今 残っていない建物もあるだろう。
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# by temanekihitsuji | 2009-01-17 12:08 | 想い | Comments(0)

降りたつところ プロローグ

 「人間」について語るなど、僭越で、不遜で、我を省みない行為だと思う。けれど敢て、少し記させてもらうことをお許しいただきたい。
 ある種の方法を用い人間という生き物の観察を試みると、この世界にはいくらかの割合以上で『うつろな人間』が存在することを知る。そして『うつろな人間』には二つの特徴的なグループが認められる。
①自分が『うつろな人間』であることを知らない、若しくは知る必要のない人間。
②自分が『うつろな人間』であることに気づいている、もしくは十分過ぎるほどに知っている人間。
 ①の場合、どうということはない。表面上、何の問題も起きはしない。「知らない」のだからそれはゼロであり無である。ゼロや無はどんな計算式に放り込んだとしてもそれ以外の存在に変貌することはない。彼らは『うつろ』ではあるものの、社会やそこから紡ぎだされたシステムにシンクロし参画し、それを享受することに疑問をさしはさむことはしない。そうしている以上、ある意味が保障する範囲においての安全を手に入れることができる。

 困ったのは②のほうのグループだ。
 もちろん、僕は後者に属する。
 彼らは自分が「うつろ」であることを熟知している。「うつろ」の巣窟を自らの中に認めることもできるだろう。「うつろさ」に一度気づいてしまうとそれを拭い去ることはできない。
 ある人はこう書いている。
「わたしの中に空白の、停止した部分があって。それはゆっくりと、時にはもの凄い勢いで腐敗してゆく。そしてわたしにはそれを食い止める手段が見当たらない」
 彼らも社会やシステムにシンクロし参画し・・・・・・そうしている振りをしている。享受することはあまりない。それは彼ら自身も社会やシステムに含まれているからだろう。「うつろ」を意識することはその「綻び」を味わうことに似ているかも知れない。だが、彼らはその内側にいる。そして「うつろ」は彼らの中にある。いわば「綻び」の中枢にいるのだ。そしてその中枢は社会やシステムの中枢でもある。
 ②人間が自分の中から「うつろさ」を除去し外界へ逃げ出すことはできない。物事を観察し、判断し行動を起こすには客観的に対象を捉えることが肝要だと思う。観察者が被観察者であるこの状況でそれが可能なのかどうか、答えはおそらくNOだろう。できることといえば、討ち死にするとわかっていても挑みかかるか、あるいは「知らない振り」をし通して、永い時をやり過ごすくらいのものだろう。

うまくは立ち回れないのだ、フィリップ・マーローのようには。

だから、書くことにした。
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# by temanekihitsuji | 2009-01-15 15:09 | 裏ひつじ | Comments(0)


紙のひと てまねき羊      紙でちっちゃいもの作ってます 純喫茶 洋食屋 銭湯が好き。


by temanekihitsuji

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